現在、四大中華スマホメーカーと呼ばれているのは「Huawei」「Oppo」「Vivo」そして「Xiaomi」です。
この四大スマホメーカーは、中国市場における近年の激しいシェア争いの中で、製品のクオリティーやコストパフォーマンスといった要素の他に、
大胆且つ巧みなプロモーション戦略を遂行し、シェアを伸ばしてきました。
Huawei
Huaweiは四大中華スマホメーカーの中では、他との差別化にもっとも成功しているメーカーでしょう。
2018年にOppoが日本上陸を果たしましたが、それまでは中華スマホ唯一の日本市場でのプレーメーカーでした。
設立当初のHuaweiの役割は、中国国内の電話網構築に必要な通信関連部品を作ることでした。
ただ、海外メーカーから技術を得ようとしても、そう簡単に社会主義国家に技術を渡すメーカーなどあるはずもなく、
Huaweiはリバースエンジニアリングに活路を求めます。
これは、製品を分解して構造や動作などについて解明していく手法で、現在も研究開発(R&D)を軸に商品開発や品質向上を続ける会社の原点と言えます。
Huaweiは高性能でスタイリッシュな大人のイメージを自社のスマートフォンに植え付ける努力をしてきました。
最新の「P20」「P20+」そして「Mate RS Porsche Design」といった端末も、ハイテクは詰め込まれているものの、
若者が好むセルフィー関連のハイテクはありません。
こういった「大人に好まれる潔さ」がHuaweiというメーカーが支持される理由なのだと思います。
Oppo
Oppoは若者向け端末で、中国スマートフォン市場の険しい階段を昇ってきたメーカーです。
日本市場に投入される「R11s」など、若者の好む「セルフィー需要」をいち早く形にして成功しました。
多くのモデルでメインカメラよりもフロントカメラを重視。A.I.ビューティー機能など、とにかくセルフィーに力を入れています。
Oppo成功の裏には、セルフィー以外にも大きな要因があります。
Oppoはイメージ戦略のために、中国国内都市の隅々にまで届くほどのフィジカル店舗網を築き上げました。
これはのちに触れるXiaomiとは全く違ったやり方です。中国の街中にはOppoのイメージカラーであるグリーンが目立ちます。
グリーンといえばOppo。人々の心の中に、これでもかというほどにOppoのイメージを植え付け、そして店舗で商品を手にとってもらう。
Oppoの成功の裏には、地道な出店攻勢があったのです。
Vivo
Vivoは元々オーディオを得意とするメーカーでした。
OppoとVivoは、BBKという会社が母体となっているため、ライバルでありながら兄弟関係でもあるという、「It’s complicated(複雑~)」な関係です。
この両者はターゲットに関しても大いに被る部分があります。Vivoの端末は、若者のセルフィー需要に答えるカメラスマホです。
そしてオーディオを得意としているメーカーらしく、オーディオに強い端末の研究と開発に力を入れています。
VivoもOppoと同じく、実店舗を国内主要都市の隅々にまで出店しました。
また、より若者にアピールする広告展開を得意としています。
多くの国々で、その国のセレブを広告等に起用。
また、FIFA WORLD CUPのオフィシャルスマートフォン、インドのクリケット代表チームのスポンサーになるなど、
非常に戦略的なプロモーションを得意とするメーカーです。
Xiaomi
Xiaomiは2010年代の前半に中国国内のスマホシェア第1位を獲得したことのあるメーカーです。
iPhoneのデザインによく似た、スタイリッシュで高機能、高コスパな製品を送り出し、爆発的人気を呼びました。
Oppoのところで触れたように、当時のXiaomiの戦略は、インターネット上で販売することで送料などのコストを削減することが肝でした。
端末自体はほぼ原価で販売していたとの話しもあります。
Xiaomiは本体が売れれば、アクセサリーも売れるという考えだったので、スマートフォン以外のところから利益を出すというビジネスモデルだったと
言えるでしょう。
しかし、OppoやVivoの台頭は、Xiaomiに戦略の転換を促しました。実店舗の大規模展開を前に、Xiaomiのシェアは下り坂を描き出しました。
Xiaomiのスマートフォンですが、さすがに初期の「iPhoneに瓜二つ」…というような端末は発表していません。
ただ、「スタイリッシュで高機能」という点に関しては、現在もキープしています。
2017年の後半からは、再び大規模な構成をかけてきており、2018年春登場のハイエンド端末Mi Mix 2sは、スマホファンの注目を浴びています。
この特別なモデルを発表すること自体、Xiaomiのやる気を感じずにはいられません。
このMi Mix 2sは、Xiaomiが再び中国スマートフォン市場のトップに立つことを決意した、その現れではないかと思います。